The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2010-01-01から1年間の記事一覧

ペイター

ウォルター・ペイター『ガストン・ド・ラトゥール』(原著1896/改訂版1995) 「すべての芸術はたえず音楽の状態に憧れる」という言葉しか知らなかったウォルター・ペイター。この言葉は『ルネサンス』のなかに記されているとのことだが、同じルネサンスを舞…

ブルーノ、小浜善信、グラナダ

Giordano Bruno, Camoeracensis Acrotismus seu rationes articulorum physicorum adversus Peripateticos. (1588) 小浜善信「永遠と時間――プロティノスからトマスまで」(1998) Miguel Ángel Granada, "El concepto de tiempo en Bruno: tiempos cósmicos …

風間喜代三、アガンベン

風間喜代三『ことばの生活誌』(1987) Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) 風間喜代三『ことばの生活誌』、どうしてこれまでこれを読んでいなかったのか。あの浩瀚なバンヴェニストに挑戦しては挫折していた身には、滅法面白い一冊。哲…

風間喜代三、アガンベン

風間喜代三『印欧語の故郷を探る』(1993) Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) インド=ヨーロッパ祖語にかぎらず、おおよそ「起源」を求めるときにまず第一に躓きとなるのは、いったい「共同体」なる概念をどのようなものとして理解す…

風間喜代三、アガンベン

風間喜代三『言語学の誕生』(1978) Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) 比較文法におけるアナロジーの用い方、その恣意性を回避するために実際の歴史的状況を参照するというやり方は、なんだかヴァールブルクのイコノグラフィーにどこ…

ノヴァーリス、風間喜代三

ノヴァーリス「断章と研究」(1799-1800) 風間喜代三『言語学の誕生』(1978) ノヴァーリスが最晩年の「断章と研究」に書き残したスピノザについての言葉を調べるべく、ひとまず邦訳であたりをつけようと手に取った二つの『ノヴァーリス全集』。牧神社版(…

アガンベン

Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) ひきつづいてアガンベン『事物のしるし』。チョムスキーの「生成文法」に言及しているのは、なんともおざなりなその言及の仕方を見るにつけ、たんに「比較文法」との語呂合わせをしたかったのではない…

アガンベン

Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) アガンベンが哲学的考古学の探究する「アルケー」を宇宙論の「ビッグバン」になぞらえているあたり、ベンヤミン的な「渦」はもう聞き飽きたのでそれなりに面白く思ったものの、ふとジョージ・クブラー…

ジョイス、ヌスバウム、アガンベン

ジェイムズ・ジョイス『ダブリン市民』(原著1914) マーサ・ヌスバウム『感情と法』(原著2004) Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) ジェイムズ・ジョイスの「死者たち」にちょこっと登場する「三美神」と「パリスの審判」、その解釈の…

アガンベン

Giorgio Agamben, Signatura rerum. Sul metodo. (2008) ジョルジョ・アガンベン『事物のしるし』、「哲学的考古学」の章を再読しはじめてみるも、おそらく意図的にエトムント・フッサールについて沈黙していることの意味をいまだ推し量りかねている。この書…

トマス、ジョイス、アガンベン

Thomas Aquinas, Summa theologiae. James Joyce, "The Bruno Philosophy." (1903) ジョルジョ・アガンベン『王国と栄光』(原著2007) かの有名な〈 natura naturans / natura naturata 〉の対概念。アヴェロエスのラテン語訳で導入されたとか、いやエリウ…

アガンベン

ジョルジョ・アガンベン『王国と栄光』(原著2007) 再読しはじめてみると、「摂理」の話あたりに、ルネサンスのプラトン主義における一者と自然の理解にも資する論点がちらほら。 ただ、ルネサンス=近世を飛ばして中世と近代を「系譜」の名のもとに結びつ…

ジョイス、ジョイス=ブルーノ(ダウンズ)

James Joyce, "The Day of the Rabblement." (1901) Gareth Joseph Downes, "The Heretical Auctoritas of Giordano Bruno: The Significance of the Brunonian Presence in James Joyce's The Day of the Rabblement and Stephen Hero." (2003) 蒙昧な群衆…

ジョイス、ダグロン

James Joyce, "The Bruno Philosophy." (1903) Tristan Dagron, « Coïncidence et contrariété chez Bruno et Nicolas de Cues » (2007) ジェイムズ・ジョイスがジョルダーノ・ブルーノから汲み取った最大の思想は「相反の一致」だ――というのは、たしかにそ…

ジョイス、カントロヴィチ、ダグロン

James Joyce, "The Bruno Philosophy." (1903) エルンスト・カントロヴィチ『祖国のために死ぬこと』(1993) Tristan Dagron, Unité de l'être et dialectique. L'idée de philosophie naturelle chez Giordano Bruno. (1999) 久々再読のカントロヴィチ。ペ…

フィチーノ、ダグロン

Marsilio Ficino, « Pallas, Iuno, Venus, vita contemplativa, activa, voluptuosa » (1490) Tristan Dagron, « Le Timée de Marsile Ficin : Providence et nécessité » (2000) ルネサンスにおける「一者」の理解の仕方が存在と摂理との分離を帰結するとい…

ヴィント、サラ=モランス、ダミッシュ

Edgar Wind, Pagan Mysteries in the Renaissance. (2nd ed. 1968) ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991) Hubert Damisch, Le Jugement de Pâris. (1992) 短いながらも、ユベール・ダミッシュ『パリスの審判』に「アナクロニズム」を論じた箇所がある…

ブルーノ、ジョイス、ヴィント、サラ=モランス、ダミッシュ

Giordano Bruno, De gli eroici furori. (1585) ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(原著1939) Edgar Wind, Pagan Mysteries in the Renaissance. (2nd ed. 1968) ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991) Hubert Damisch, Le Jugement d…

ジョイス、サラ=モランス、ダグロン

ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』(原著1939) ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991) Tristan Dagron, « La doctrine des quelités occultes dans le De incantationibus de Pomponazzi » (2007) ルネサンスにおける奇跡や呪術の「自…

サラ=モランス、ダグロン

ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991) Tristan Dagron, « Les êtres contrefaits d'un monde malade. La nature et ses monstres à la Renaissance : Montaigne et Vanini » (2005) モンテーニュとヴァニーニ(そしてカルダーノとポンポナッツィも少…

ジョイス、今福龍太、ジョイス(宮田恭子)

ジェイムズ・ジョイス『若い芸術家の肖像』(原著1916) 今福龍太『荒野のロマネスク』(初版1989) 宮田恭子『ジョイスと中世文化』(2009) 『荒野のロマネスク』所収のメキシコのコーラ族の音楽論「音と身体のエスノセオリー」、人間の領域と動物の領域の…

 ブリュノ・ラトゥールによる

Iconoclash. Beyond the Image Wars in Science, Religion and Art, edited by Bruno Latour and Peter Weibel, Cambridge, Mass., MIT Press, 2002. Making Things Public. Atmospheres of Democracy, edited by Bruno Latour and Peter Weibel, Cambridge,…

アガンベン、門林岳史

ジョルジョ・アガンベン『言葉と死』(原著1982) 門林岳史『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?』(2009) 20世紀最大の「ブルーノ主義者」と言うべきジェイムズ・ジョイスのこともそろそろちゃんと考えはじめてみるべきかと思い立ち、マー…

立木康介

立木康介「ラカン派1964-」(2010) 立木康介「日本精神分析史の黎明」(2010) 立木康介、十川 幸司、原 和之「〈座談会〉来るべき精神分析のために」(2010) 考えてみれば、理論というものも受容史を見据えると(へんに具体例を挙げるよりも)クリアにな…

ダグロン

Tristan Dagron, "Toland and the censorship of atheism" (2009) 宗教(あるいはもっと広く言って「信」)の問題は、当然と言えば当然ながら、思ったほど単純でない。トリスタン・ダグロンがレヴィ=ストロースの「象徴的効果」を参照しているのは少々意外…

今福龍太

今福龍太『荒野のロマネスク』(初版1989) 『荒野のロマネスク』最初の章「荒野のロマネスク」は、もし科学主義批判や客観主義批判として読むのだとすれば、もはや今日ではかつてと状況が変わっているだけに、あまり面白いことにはならなさそう。けれども、…

レヴィ=ストロース

クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』(原著1975) 図像の類似という反復関係に(基本的には)着目するイコノグラフィーに、もし対立や反転というさらなる変換関係を導入できたなら、豊饒な知見を獲得できそうにも思う……ので読みはじめてみる。

今福龍太

今福龍太『野性のテクノロジー』(1995) 異文化の接触の問題(といっても、そもそも文化は接触以外のなにものでもないが)は、ミルチア・エリアーデの宗教史を貫くモチーフでもあったが、近代以降の芸術(シュルレアリスムだけでなく)にとっても想像以上に…

オッソーラ、マスポリ・ジェネテッリ

Carlo Ossola, Autunno del Rinascimento. (1971) Silvia Maspoli Genetelli, Il filosofo e le grottesche. (2006) 久々に『ルネサンスの秋』をひっぱりだして、著者がコレージュ・ド・フランス教授のカルロ・オッソーラだったということに、いまさら気づく…

ブルーノ、バダローニ

Giordano Bruno, La cena de le ceneri. (1584) Id., Spaccio de la bestia trionfante. (1584) Id., De vinculis in genere. (c.1591) Nicola Badaloni, ​​L​a​ ​f​i​l​o​s​o​f​i​a​ ​d​i​ ​G​i​o​r​d​a​n​o​ B​r​u​n​o. (1955) ブルーノの質料論は、『原因…