The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 ジョルジョ・アガンベン『バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』』(高桑和巳訳、月曜社、2005年)

ジョルジョ・アガンベン(1942- )が、ハーマン・メルヴィルの小説『バートルビー』を、「潜勢力」の問題系から読み解いた書物。なにかを「することができる」ということは同時に「しないことができる」ということでもある。アガンベンはこうした潜勢力(可…

 エウヘニオ・ドールス『バロック論』(神吉敬三訳、美術出版社、1970年)

エウヘニオ・ドールス(1882-1954)が、「重く沈むかたち」たるクラシックと対になる「飛翔するかたち」たるバロックについて論じた古典的書物(フランス語訳1935年、スペイン語版1943年)。それまではたんにクラシックの否定や堕落としてのみ語られてきたバ…

 池上俊一『身体の中世 (ちくま学芸文庫)』(ちくま学芸文庫、2001年)

中世西ヨーロッパにおける身体の在り方や、身体についての思考、身体を通しての思考を概観した書物。中世も現代も人間の身体構造自体はそれほど変化がないにしても、その捉え方は大きく異なっている。もちろんそれは儀礼や衣装、医学(治療や衛生)などの場…

 ジャン・ブラン『手と精神』(中村文郎訳、法政大学出版局、1990年)

ジャン・ブラン(1919-1994)が、人間の「手」の解剖学的構造や機能から象徴的な意味までを辿りつつ、「把握すること」「触れること」について考察した書物。人間と動物との区別を規定しようとするとき参照されるものとしては、さしあたり「ことば」がまず思…