The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

カルヴィーノ

イタロ・カルヴィーノ『文学講義』(原著1988) 第四講「視覚性」で展開されている想像力論、ダンテ『神曲』(La divina commedia)からはじまってバルザック『人間喜劇』(La comédie humaine)におわるという構成の妙もさることながら、概念的思考に対する…

五十嵐一

五十嵐一『イスラーム・ルネサンス』(1986) 第六章「“秤”の学――イスラーム的知の相貌」の話、よくある「世界の調和」の話と言ってしまえばそれまでかもしれないが、エウクレイデス(ユークリッド)がイスラームに導入されたときにその幾何学より比例論が重…

五十嵐一

五十嵐一『イスラーム・ルネサンス』(1986) イスラーム美学を論じた「コーランにおける創造観――自己作品化の美学」の章が気になって繙いてみたこの書物、それより次の章「変心の神秘――イスラーム的構造変動論」を面白く読む。「変身」が、変化していると見…

グリーンブラット

スティーヴン・グリーンブラット『ルネサンスの自己成型』(原著1980) ブルクハルト的な「ルネサンスにおける人間の発見」のテーゼを発展的に継承するとこうなるのかといった感のグリーンブラットの「ルネサンスの自己成型」のテーゼ。「ルネサンスになると…

アンサルディ

Saverio Ansaldi, Giordano Bruno. Une philosphie de la métamorphose. (2010) サヴェリオ・アンサルディ、2006年の『自然と力能――ブルーノとスピノザ』は、ブルーノ論としてはちょっと入門書的というか概説的で物足りなかったものの、今年刊行のこちら『ジ…

クブラー

George Kubler, The Shape of Time. (1962) あらためて読み直してみるとジョージ・クブラー、「様式論か図像学か」で二極化していた五〇〜六〇年代のアメリカの美術史業界情勢をまえにしてこの本を書いたのだろうなという印象が強かったり。これが七〇年代に…