The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

多木浩二

多木浩二『神話なき世界の芸術家』(1994) 個人的にはむかしアンゼルム・キーファー論を面白く読んだ記憶のある多木浩二によるバーネット・ニューマン論を繙いてみると、これまた面白く読む。現象学や崇高論やカバラーを援用した解釈に禁欲的なところに親近…

ルヴァイヤン

フランソワーズ・ルヴァイヤン『記号の殺戮』(1995) これもむかしから存在は知っていたものの手に取ったことのなかった『記号の殺戮』。この書物は(というかルヴァイヤンの書物自体!)どうやら日本語でしか存在しない模様。アンドレ・マッソンを中心に、…

フェルマン

フェルディナント・フェルマン『現象学と表現主義』(原著1982) むかしから存在は知っていたものの手に取ったことのなかった『現象学と表現主義』。時代精神みたいなものから哲学と芸術を類比する怪しげな「精神史」話かと思いきや、これがなかなか地に足つ…

大平具彦

大平具彦『二〇世紀アヴァンギャルドと文明の転換』(2009) シュルレアリスムと人類学の接近遭遇をもう少し考えてみようとこの書物を手に取ってみたところ、ヨーロッパのアヴァンギャルドを文化的ハイブリッドとして理解しなおすという企図を見て、なにやら…

谷川渥

谷川渥『シュルレアリスムのアメリカ』(2009) 慎ましいタイトルながら、シュルレアリスムから抽象表現主義にいたる動向が多面的に切り出されていて、一息に読んでしまう。「眼は野生の状態で存在する」というブルトンの名高い言葉も含め、シュルレアリスム…