The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 エミール・ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論―附:江川隆男「出来事と自然哲学 非歴史性のストア主義について」 (シリーズ・古典転生)』(江川隆男訳、月曜社、2006年)

エミール・ブレイエ(Émile Bréhier, 1876-1952)が、初期ストア主義哲学を、「非物体的なもの」に着目しつつ、おもにプラトンやアリストテレスとの差異のなかで論じた書物。「相互に作用しあう実体たる物体」と「いかなる作用ももたない非物体的な事実(出…

 ジョルジョ・アガンベン『幼児期と歴史―経験の破壊と歴史の起源』(上村忠男訳、岩波書店、2007年)

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben, 1942- )が「歴史」について考察した諸論考を集めた書物(原著は1978年、2001年に増補)。日本語訳されたのであらためて読みなおしたが、かつて中心的に読んだ「時間と歴史」の章よりも「おもちゃの国」の章のほう…

 ブリュノ・ラトゥール『科学論の実在』(川崎勝、平川秀幸訳、産業図書、2007年)

ブリュノ・ラトゥール(Bruno Latour, 1947- )が、「主体−客体」の対を「複数の人間−複数の人間でないもの」の集合体へと置き換えながら、みずからの「実在論」哲学を展開した書物。「絶対的な客観性」と「社会や権力による構築性」との闘争が実は一致して…