The Passing +

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

倫理

マッシモ・カッチャーリ『死後に生きる者たち』

マッシモ・カッチャーリ『死後に生きる者たち』上村忠男訳、みすず書房、2013年(原著1980年、2005年) ニーチェを継いで語られる「死後に生きる者たち」の位置は、同時代性も、反時代性さえもなく、主体を幽霊のごとき絶対的な距離のうちに置く。「自分のい…

ダイヤモンド、カヴェル、マクダウェル、ハッキング、ウルフ

コーラ・ダイヤモンド、スタンリー・カヴェル、ジョン・マクダウェル、イアン・ハッキング、ケアリー・ウルフ『〈動物のいのち〉と哲学』(原著2008) まだぱらぱらと捲ってみたところだけれど、スタンリー・カヴェルをめぐる論集といった趣もあり、『観られ…

 アルフォンソ・リンギス『何も共有していない者たちの共同体』(野谷啓二訳、洛北出版、2006年)

アルフォンソ・リンギス(Alphonso Lingis, 1933- )が、共有にもとづかない共同体の在り方を、「死」や「他者」との対面のうちに見いだそうとした書物。 リンギスは、おそらくエマニュエル・レヴィナスに倣い、同じものを共有することにもとづく「理性的〔…

 アラン・バディウ『倫理―〈悪〉の意識についての試論』(長原豊、松本潤一郎訳、河出書房新社、2004年)

アラン・バディウ(1937- )が、現在支配的な倫理の言説の欺瞞を苛烈に批判した書物。一方では、善意やユマニスム(人道とか人間性とか)などの名のもとに、〈同情者/犠牲者〉の権力構造を再生産し続ける「似非カント主義」(カント本人ではない)が批判さ…

 松原洋子、小泉義之編『生命の臨界―争点としての生命』(人文書院、2005年)

生命倫理や環境倫理について問いなおした、いくぶん論争的な姿勢に貫かれた書物。生命の序列化や差別化(優生学的なものから「QOL」論的なものまで)を批判し、生の複数性をいかに肯定するかについての問いが、この書物全体に通底しているように思う。自己決…