The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ブルーノ、小浜善信、グラナダ

  • Giordano Bruno, Camoeracensis Acrotismus seu rationes articulorum physicorum adversus Peripateticos. (1588)
  • 小浜善信「永遠と時間――プロティノスからトマスまで」(1998)
  • Miguel Ángel Granada, "El concepto de tiempo en Bruno: tiempos cósmicos y eternidad" (2003)

ジョルダーノ・ブルーノの「無限の開かれた宇宙」というと、つい空間的な広がりのこと(だけ)を思い浮かべてしまいがちになるが、これは時間にも適用される。だからこそ、ブルーノ哲学ではあれほどに「流転」が重要な位置を占めているのだろう。そのブルーノの時間論、アリストテレス批判という企図を共有しているからか、プロティノスの時間論によく似ている。とはいえ、似ているからこそ逆に、ブルーノが永遠も時間も(そして永劫も)一つの同じ持続のなかに統合してしまうことが、かなり大胆な挙措に見える。