サラ=モランス、ダグロン
- ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991)
- Tristan Dagron, « Les êtres contrefaits d'un monde malade. La nature et ses monstres à la Renaissance : Montaigne et Vanini » (2005)
モンテーニュとヴァニーニ(そしてカルダーノとポンポナッツィも少々)における「奇形/怪物」の問題を考察したダグロン「病んだ世界の歪んだ存在」、これも出色の論考。自然の無限の産出性への着目が、神の意志の問題を後景に追いやり、調和の美学を多様性の美学に置き換える――この、ルネサンスのいわゆる「自然主義」の発想がもつパラドクシカルな性格を、あらためて印象づけられる。
たまたま同日に読みはじめたサラ=モランスの全体性の議論ともいくぶん符合していて、この偶然は僥倖と言うべきか。