The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 ジャック・ル=ゴフ『歴史と記憶』(立川孝一訳、法政大学出版局、1999年)

ジャック・ル=ゴフ(1924- )による歴史の歴史、および歴史科学の方法論についての考察。ル=ゴフは、「歴史とは過去の再構築である」という視点から実証主義と歴史主義を批判するアナール派の歴史家だけあって、歴史における〈現在/過去〉の錯綜したかか…

 Georges Didi-Huberman, Devant le temps, Minuit, Paris, 2000.

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(1953- )の『時間のまえで』から「開かれ、アナクロニックな学問としての美術史」を再読。ディディ=ユベルマンの狙いは、これまでの歴史学の方法論的前提だった「影響」や「原型」による時間モデルを批判し、ヴァールブ…

 カルロ・ギンズブルグ『神話・寓意・徴候』(竹山博英訳、せりか書房、1988年)

カルロ・ギンズブルグ(1939- )の1986年に刊行された論文集。空間的にも時間的にもかけはなれた歴史的出来事を比較したいという誘惑(=「形態学的」方法)と、時間的・空間的連続性にもとづいた厳密な記述をおこなおうという意志(=「歴史学的」方法)と…

 マーティン・ジェイ『暴力の屈折―記憶と視覚の力学』(谷徹、谷優訳、岩波書店、2004年)

マーティン・ジェイ(1944- )によって書かれた、イメージ、暴力、戦争、歴史などのテーマ系が交差する論文・批評集。フロイトによって提起された「喪」と「メランコリー」の対比にもとづきつつ、「トラウマ」概念によってこうしたテーマ系を語るというのは…

 Jacques Rancière, Le Destin des images, La Fabrique, Paris, 2003.

ジャック・ランシエール(1940- )の『イメージの運命』から、第一章「イメージの運命」を読む。現代においてイメージがどのようなものと考えられているかをメタレヴェル的に分析していく手腕は、さすが鋭い。19世紀末に起こった「芸術の純粋化」と「芸術の…