The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

今福龍太

『荒野のロマネスク』最初の章「荒野のロマネスク」は、もし科学主義批判や客観主義批判として読むのだとすれば、もはや今日ではかつてと状況が変わっているだけに、あまり面白いことにはならなさそう。けれども、たんなる外部世界の探訪ではなく、「引き裂かれた自己意識の風景を非ヨーロッパ世界との出逢いのなかに見いだそうとする新しい感性」というのは、少々ゆっくりと反芻してみるだけの面白い論点のようにも感じる。