The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2007-01-01から1年間の記事一覧

 エミール・ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論―附:江川隆男「出来事と自然哲学 非歴史性のストア主義について」 (シリーズ・古典転生)』(江川隆男訳、月曜社、2006年)

エミール・ブレイエ(Émile Bréhier, 1876-1952)が、初期ストア主義哲学を、「非物体的なもの」に着目しつつ、おもにプラトンやアリストテレスとの差異のなかで論じた書物。「相互に作用しあう実体たる物体」と「いかなる作用ももたない非物体的な事実(出…

 ジョルジョ・アガンベン『幼児期と歴史―経験の破壊と歴史の起源』(上村忠男訳、岩波書店、2007年)

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben, 1942- )が「歴史」について考察した諸論考を集めた書物(原著は1978年、2001年に増補)。日本語訳されたのであらためて読みなおしたが、かつて中心的に読んだ「時間と歴史」の章よりも「おもちゃの国」の章のほう…

 ブリュノ・ラトゥール『科学論の実在』(川崎勝、平川秀幸訳、産業図書、2007年)

ブリュノ・ラトゥール(Bruno Latour, 1947- )が、「主体−客体」の対を「複数の人間−複数の人間でないもの」の集合体へと置き換えながら、みずからの「実在論」哲学を展開した書物。「絶対的な客観性」と「社会や権力による構築性」との闘争が実は一致して…

 池上俊一『イタリア・ルネサンス再考 花の都とアルベルティ (講談社学術文庫)』(講談社学術文庫、2007年)

レオン・バッティスタ・アルベルティと15世紀フィレンツェの文化・社会とを互いに照応させながら論じた書物。「万能の天才」アルベルティについては、いつか自分なりに取り組んでみたいとかねてより思っているが、なかなか手を出せないでいる。この書物では…

 マルク・リシール『身体―内面性についての試論』(和田渡、加國尚志、川瀬雅也訳、ナカニシヤ出版、2001年)

マルク・リシール(Marc Richir, 1943- )が、身体からの/への「超過」という視点から、身体の現象学、心身問題、身体の思想史などを簡略に論じたもの。リシールは、「心」を実体化することなく、身体からの/への多様な「超過」の在り方として、感覚、情緒…