The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

マッシモ・カッチャーリ『哲学の迷宮』

Massimo Cacciari, Labirinto filosofico, Milano : Adelphi, 2014. (新)プラトン主義の伝統にあっては、哲学者——知恵を愛する者——は魂に知恵のイメージを描き、そうして魂はそのイメージに恋をするようになる。哲学すること、知恵を愛することにはエロー…

マッシモ・カッチャーリ『死後に生きる者たち』

マッシモ・カッチャーリ『死後に生きる者たち』上村忠男訳、みすず書房、2013年(原著1980年、2005年) ニーチェを継いで語られる「死後に生きる者たち」の位置は、同時代性も、反時代性さえもなく、主体を幽霊のごとき絶対的な距離のうちに置く。「自分のい…

古田徹也『言葉の魂の哲学』

古田徹也『言葉の魂の哲学』、講談社選書メチエ、2018年 概念の実体化への批判と、言葉の立体的理解への洞察が、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインとカール・クラウスの言語哲学から汲み取られていく。言葉以前のものを実体化して、言葉をその代理と見なす…

星野太『崇高の修辞学』

星野太『崇高の修辞学』、月曜社、2017年 感性に関わる「美学的崇高」の背後に、言葉に関わる「修辞学的崇高」が発掘される。これはアイステーシスの根底にすでにロゴスがあるということなのだろうか。 * 偽ロンギノスは、過去の崇高な作品に触れることがみ…