2010-08-14 ペイター 哲学 芸術 読書 ウォルター・ペイター『ガストン・ド・ラトゥール』(原著1896/改訂版1995) 「すべての芸術はたえず音楽の状態に憧れる」という言葉しか知らなかったウォルター・ペイター。この言葉は『ルネサンス』のなかに記されているとのことだが、同じルネサンスを舞台にしたこの未完の小説。芸術が人生で唯一の指針になるという、いかにも唯美主義な思想が小説と批評の折り混ざった文体で描き出されるものの、その(形而上学的な?)前提としてジョルダーノ・ブルーノの哲学(道徳含めてあらゆる価値序列を棄却ないし宙吊りにする「低次汎神論」)が引きあいに出されていて、少々意外でもあり面白くもあり。