The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 キャシー・カルース『トラウマ・歴史・物語 持ち主なき出来事』(下河辺美知子訳、みすず書房、2004年)

キャシー・カルースが「トラウマ」概念をめぐって、フロイト、ラカン、ド=マン、レネ+デュラスらの作品を考察した書物。カルースは、フロイトの「快原理の彼岸」や『人間モーセと一神教』をもとにして、トラウマを「ある危機的な出来事を、それと知らぬ間…

 イザベル・スタンジェール『科学と権力―先端科学技術をまえにした民主主義』(吉谷啓次訳、松籟社、1999年)

イザベル・スタンジェール(1949- )が、現代社会における科学をめぐる「政治」について論じた書物。現代社会において、科学を専門としない人々にとっては、科学の専門家が言うことを「黙って受け入れる」か「闇雲に反発する」かの二択しかないように見える…

 ガストン・バシュラール『科学認識論』(ドミニック・ルクール編、竹内良知訳、白水社、新装版2000年)

ガストン・バシュラール(1884-1962)による科学認識論のテクストを、ドミニック・ルクール(1944- )が取捨選択し再構成した書物。さながら、ルクールがバシュラールの引用のみで書いた書物、といった趣だが、バシュラールの思考とルクールの立場とを同時に…

 ノーウッド・ラッセル・ハンソン『科学的発見のパターン (講談社学術文庫)』(村上陽一郎訳、講談社学術文庫、1986年)

ノーウッド・ラッセル・ハンソン(1924-1967)が、科学における「見ること」をめぐって考察をおこなった書物。ハンソンによれば、「見ること〔seeing〕」とは「として見ること〔seeing as〕」であり、「であることを見ること〔seeing that〕」である、という…