The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

オッソーラ、マスポリ・ジェネテッリ

Carlo Ossola, Autunno del Rinascimento. (1971) Silvia Maspoli Genetelli, Il filosofo e le grottesche. (2006) 久々に『ルネサンスの秋』をひっぱりだして、著者がコレージュ・ド・フランス教授のカルロ・オッソーラだったということに、いまさら気づく…

ブルーノ、バダローニ

Giordano Bruno, La cena de le ceneri. (1584) Id., Spaccio de la bestia trionfante. (1584) Id., De vinculis in genere. (c.1591) Nicola Badaloni, ​​L​a​ ​f​i​l​o​s​o​f​i​a​ ​d​i​ ​G​i​o​r​d​a​n​o​ B​r​u​n​o. (1955) ブルーノの質料論は、『原因…

フィチーノ、グラナダ、坂本賢三

Marsilio Ficino, "De divino furore" (1457) Miguel Ángel Granada, "Amor, spiritus, melancolia" (1984) 坂本賢三『科学思想史』(1984) 「精気」を「身体」と「魂」との媒介として位置づける(ちょうど想像力を感性と知性〔悟性〕の媒介として位置づけ…

交響するコスモス

中村靖子編『交響するコスモス』(上+下)(2010) 感情論についての論考数篇が収録されているので手にとった『交響するコスモス』は、人文・社会・自然・脳科学にまたがる内容の論文集。目当てだった感情論よりも、マヤ文明の地図や数学の話に思わず惹きこ…

ブルーノ、坂本賢三

Giordano Bruno, La cena de le ceneri. (1584) Id., De la causa, principio et uno. (1584) 坂本賢三「マテリエ・フォルム・インハルト」(1971) ブルーノによる「質料」概念の捉えなおしは比較的よく知られているにせよ、それが哲学と医学の混同に対する…

ブルーノ、オットー

Giordano Bruno, De gli eroici furori. (1585) Stephan Otto, » Die Augen und das Herz. Der philosophische Gedanke und seine sprachliche Darstellung in Brunos Heroischen Liedenschaften « (2003) 哲学に唯一絶対の方法などなく、哲学の諸派にはそれ…

アド

Pierre Hadot, Les voile d'Isis. (2004) 西洋における「自然」概念の歴史を論じたピエール・アドのこの書物は、頁を捲るたびごとにいつも新しいことを教えられる。 気づいてなかったが、アドは4月末に亡くなっていたよう。ときどき実存主義的すぎてついてい…

ブルーノ

Giordano Bruno, De gli eroici furori. (1585) Id., De vinculis in genere. (ca.1591) ブルーノはやはり未完の遺稿『紐帯一般について』が抜群に面白い。ロベール・クラインがこの遺稿を重視するのも肯ける。

ブルーノ

Giordano Bruno, De gli eroici furori. (1585) もはやなんど読み返したか不明なこの書物。でも読み返すたびに、ブルーノによる「プラトンの唯物論的解釈」(ニコラ・バダローニ)という、こう言ってよければ一つの「プラトン主義の転倒」としてこの書物を理…

アラス

ダニエル・アラス「肉体、優美、崇高」(原著2005) 先頃翻訳された『身体の歴史』第一巻。そこに所収のダニエル・アラスの論考の凄いこと。アルベルティからフロイトまで、絵画から蝋人形まで、解剖学から社交術まで、この第一巻全体の内容を美術史として包…

ダグロン、エリアーデ

Tristan Dagron, « Remarques sur la figuration et la réflexion dans la philosophie de Giordano Bruno » (1997) ミルチア・エリアーデ『悪魔と両性具有』(原著1962) エリアーデのこの論文集、先日読んだ「悪魔と両性具有――全体像の神秘」(第2章)があ…

希望学

東京大学社会科学研究所編『希望学[1]希望を語る』(2009) 社会科学に「希望」という視点を導入することの賭金は、一つには、社会問題の心理主義化ないし個体化という傾向(「自己決定」や「自己責任」はその端的なあらわれ)を逆手にとって、「希望」と…

ダグロン

Tristan Dagron, « Remarques sur la figuration et la réflexion dans la philosophie de Giordano Bruno » (1997) トリスタン・ダグロンの書いたものは、まさにはずれなし。2000年以前のものは若干ながら散漫になる部分もなくはないが、ブルーノ論として、…

パノフスキー、モンザン

エルヴィン・パノフスキー『イデア』(原著初版1924/二版1960) 『サイト・ゼロ/ゼロ・サイト』第3号(特集:ヴァナキュラー・イメージの人類学) そのむかし読んだマリ=ジョゼ・モンザン『ホモ・スペクタトル』の翻訳(第一章「われわれ人間を誕生させる…

クライン、モレル

Robert Klein, La forme et l'intelligible. (1970) Philippe Morel, Les grotesques. (1997) フィリップ・モレルも基本的にロベール・クラインの延長線上で、マニエリスム美学の代弁者としてジョルダーノ・ブルーノの想像力論を引きあいに出す。それなりに…

クライン、アラス

Robert Klein, La forme et l'intelligible. (1970) Daniel Arasse, Le détail. (1992) アラスはあいかわらず示唆に富む。「細部」を全体のエコノミーにしたがわせる古典主義芸術理論の「模倣」は、神の似像としての人間という発想に根ざしている、とのこと。

宮崎広和、荒川修作(塚原史)

宮崎広和『希望という方法』(2009) 塚原史『荒川修作の軌跡と奇跡』(2009) 社会科学における「希望」という視点は、情念論の現代的な一変形のような気もして、なんとなく気になるところ。とはいえそれ以上に、方法として見られた「希望」は、その時間構造か…

ブルーノ、クライン

Giordano Bruno, De monade, numero et figura. (1591) Robert Klein, La forme et l'intelligible. (1970) ひきつづいてクラインをぱらぱらめくりつつ、ブルーノ『モナド論』から必要な箇所をピックアップ。しかしブルーノは、著作ごとに言い回しが変わるこ…

クライン、エリアーデ

Robert Klein, La forme et l'intelligible. (1970) ミルチア・エリアーデ『悪魔と両性具有』(原著1962) ロベール・クラインの書物は久々に読みはじめてみると、やや独断的なところもある気もするものの、けっこう面白い。 「対立の一致」の理解の仕方が気…