- 五十嵐一『イスラーム・ルネサンス』（1986）
イスラーム美学を論じた「コーランにおける創造観――自己作品化の美学」の章が気になって繙いてみたこの書物、それより次の章「変心の神秘――イスラーム的構造変動論」を面白く読む。「変身」が、変化していると見せかけて、その内実は往々にして同一のままにどとまる（「戦争」）のに対し、「変心」こそは真の生成変化（「革命」）だという。心身二元論的な単純化に陥る危険性はさしあたりおくとして、これは「生成」を称揚する哲学が「変身」を熱心に説くときに見落としがちな論点かもしれない。と同時に、これこそシュルレアリスム（「精神の革命」）ではないだろうか、と思わせなくもない。
