The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ラトゥール

  • Bruno Latour, Politiques de la nature. (1999)

生態学的な発想がますます活況を呈している観があるこのところ、ラトゥールによるエコロジー論にも目を通しておきたい(生態学[écologie scientifique]というよりエコロジー[écologie politique]がメインの書物だったりするけれど)ということで、ひとまず巻末のレジュメを読んだらさっぱりわからない。とはいえ、ふつうに序論から読み始めてみるとなかなか面白そう。ここでもラトゥールは両面作戦で、「エコロジー運動はすでに終わったたんなる政治的イデオロギーだ」という立場と「エコロジー運動はいまだ確固とした政治的実態を備えていないからまだまだこれからだ」という立場を両極に配したうえで、そのいずれとも異なる第三の立場を模索する。内容的には、最初のあたりは自然概念と科学観の再検討の趣が強そうだが、章を追うごとに政治思想色が強くなっていきそうな気配。ほとんど新たな共同体論と言えるかもしれない(ラトゥールの言い方では「共同体」でなくて「集合体」だが)。