The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ポーコック

ひきつづきポーコックの論文集。第二章に所収の「徳、権利、作法」を再読したら、こちらもようやく咀嚼できるようになってきているよう。政治に関して、「法」(神や自然も含め)をモデルにした思考に対し、「徳」をモデルにした思考の系譜を掘り起こそうという意図は明確で、その争点に「自由」をめぐる異なる発想がある(法モデルでは自由とは権利であり、徳モデルでは自由は参加)という指摘も示唆的。
こうなると、キリスト教神学を近代政治の起源に見立てようという、いわゆる「世俗化」論は、典型的な「法」モデルの発想のように思えてきて、結局のところ世俗化だけでは問題は尽くせないとの印象も深まる。