The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ポーコック、木村俊道

繙くたびに挫折するポーコックの書物。イタリアのヒューマニズムがイギリスの道徳哲学に引き継がれていった経緯についてようやく自分なりに関心にひっかけることができてきたからか、今回はわずかながら頭に入ってくる印象。なぜジョン・トーランドがあれほどジョルダーノ・ブルーノに心酔したのかと考えるにつけ、政治(善悪)の領域を真理の探究としての哲学から切り離してしまう身振りが重大なものに思えてくる。そのとき浮上してくるのは「慣習」「交際」「作法」といったものだけれど、同時にまた、ここでこそ「イメージ」の問題を考えてみるべきようにも思える。