The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

デスコラ

  • Philippe Descola, "Une anthropologie de la figuration" (entretien avec Nikola Jankovic) (2007)
  • Philippe Descola, "Ontologie des images." (2008-2009)

友人たちと細々と読み進めているフィリップ・デスコラのコレージュ・ド・フランス講義「イメージの存在論」の要旨だけれど、世界各地の図像文化を〈アニミズム/アナロジズム/トーテミズム/ナチュラリズム〉の四つの類型に分類する作業がほとんどになってしまっていて、話題としては豊富で面白いものの、ともすれば文化本質主義に逆行してしまっている印象もちらほら(アラスカはアニミズム、西アフリカはアナロジズム、オーストラリアはトーテミズム、ヨーロッパはナチュラリズム、というような)。
もちろんそんな単純な文化類型論がデスコラの狙いではないはず……ということで、講義の前年のインタビューを読んでみると、デスコラのイメージ人類学の狙いは、一つには、芸術人類学(アルフレッド・ジェル)が西洋的な「芸術」概念を基準にしがちだったのに対して、その基準自体を複数化しようということのよう。この狙い自体はとてもしっくりくるものの、それを類型化してしまうのはミスリーディングではないかとも思う。とはいえ、デスコラの狙いの妥当性を本格的に検討するには、大著『自然と文化を超えて』を繙くしかなさそうではあったり。