デューリング
- Élie During, "Du processus à l'opération" (2003)
科学哲学と美学を股にかけて活躍するエリー・デューリングが1960年代以降のいわゆる「脱物質化」(ルーシー・リパード)していく現代芸術を論じたテクストを読んでみると、「操作(オペレーション)」という観点からプロセス・アートとコンセプチュアル・アートの相補性が指摘されている。
「操作」「実験」「プロトタイプ」といった観点は、科学哲学も押さえているデューリングならでは、とは思うものの、論旨自体はあくまでまっとうというか、まっとうすぎるというか。基本的には、その場での体験(現場主義?)に限定されて理解されがちだったプロセス・アートやハプニングやイヴェント、さらにはインタラクティヴ・アートや関係性の芸術に、実は「観念」や「概念」や「規則」の次元が不可避的に関わっていることを指摘して、よりコンセプチュアル・アートにひきつけた理解を提起しているといった印象。とはいえ、そこからどんな新しいものが見えてくるのか、別のテクストも繙いてみる必要がありそう。