The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

トドロフ

「他者」の問題を考えるためにヨーロッパによるアメリカの「発見」を取りあげるというトドロフの手つきは、方法論的にはアガンベンの言う「パラダイム」に近しい印象があって、さらにはトドロフストーリーテリングの才も相俟ってか、この「発見」の孕む問題の豊饒さと複雑さが強く印象づけられる。とはいえトドロフの見解自体は、他者の「同化」も「排除」も避けて「対話」を目指すという、率直に言えばいたって穏当(凡庸?)に思えてしまうものなこともたしか。