2011-01-10 トドロフ 人類 歴史 読書 ツヴェタン・トドロフ『他者の記号学』(原著1982) 「他者」の問題を考えるためにヨーロッパによるアメリカの「発見」を取りあげるというトドロフの手つきは、方法論的にはアガンベンの言う「パラダイム」に近しい印象があって、さらにはトドロフのストーリーテリングの才も相俟ってか、この「発見」の孕む問題の豊饒さと複雑さが強く印象づけられる。とはいえトドロフの見解自体は、他者の「同化」も「排除」も避けて「対話」を目指すという、率直に言えばいたって穏当(凡庸?)に思えてしまうものなこともたしか。