2010-09-16 朱子(木下鉄矢)、荘子(中島隆博) 哲学 読書 木下鉄矢『朱子』(2009) 中島隆博『荘子』(2009) この二冊の書物を読むかぎり、意識を取り払えば万物の無差別があらわになるという仏教的な発想とむしろ相反するような、いわば個体性と差異を掬いあげる戦略を、荘子にも朱子にも見いだせるよう。 それにしても木下鉄矢『朱子』は、10年前の『朱子学理解への一序説――朱熹再読』(1999)での壮麗なコスモロジーの描写こそ控えめなものの、格段に解釈が深化した快心の著。7年ほどまえに出会って貪るように読んだときの高揚が甦る。これはもう『朱熹哲学の視軸――続朱熹再読』(2009)も読むしかないか。