The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

朱子(木下鉄矢)

とりわけ第六章の「「事」「物」「事物」「事事物物」」がタイトルからして迫力満点だが、この書物全体を通して朱熹における「事・こと」と「物・もの」の理解が徹底的に問いなおされていると言えるか。山田晶トマス・アクィナスの〈レス〉研究』に引き続いて、「もの」は実体なのに対して「こと」は出来事だというような漠然とした理解がいかに浅薄かを思い知らされる。