The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

美学入門——読書案内

*2020年1月24日改訂。

① 佐々木健一爆笑問題『人類の希望は美美美——美学』講談社、2008年
漫才師の爆笑問題が日本の学者たちと対話したテレビシリーズから、美学の回。テンポよく気楽に読みすすめられますが、理論的に踏み込んだ議論もあり、「感性的認識の学」たる美学がなにをどう考察するものなのか、そのさわりを体験できます。

 

② 佐々木健一『美学への招待』(増補版)、2019年
昨今の美学入門書の定番。身近なトピックと伝統的な美学のテーマとがバランスよく織り成されています。

 

③ 篠原資明『差異の王国——美学講義』晃洋書房、2013年
芸術が分かるとは違いが分かること、という平明でいて奥深い洞察をもとに、美と芸術の世界に理論的に分け入っていきます。一歩ずつ思索を深めていく過程を経験できる美学講義です。

 

④ 新田博衞『気ままにエステチックス』勁草書房、1993年
気ままにどこからでも読めそうな短篇コラムの集成ながら、どの短文も凝縮された本格派の美学論考になっています。ときどき差し挟まる社会寸評もほどよいアクセント。

  

⑤ 西村清和『現代アートの哲学』、産業図書、1995年 
現代アートを題材に、美学の主要な主題をしっかりと学べる一冊。具体例と理論的分析があいまって、深く考えることができます。

 

⑥ 伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』光文社新書、2015年
美学の新しい研究動向を知れる入門書としてはこちら。美学者が視覚障害者の世界を覗いてみると、そこには知られざる感覚や身体の可能性が…。目の見える人が普段いかに感覚を使わずにすませているか、痛感されます。

 

⑦ 中井正一『美学入門』、中公文庫、2010年(初版1951年)
⑧ 九鬼周造『「いき」の構造』岩波文庫、1979年/講談社学術文庫、2003年(初版1930年)
日本語で書かれた美学書としてもっとも有名なのが、おそらくこの二冊。前者は、機械や映像の登場のあと激変する近代社会のゆくすえに眼を凝らし、後者は、日本の歴史のなかで培われて花開いた「粋」という美意識のありようを浮き彫りにした、古典的名著。けっして易しい内容ではありませんが、繰り返し読むほどに発見があります。 


⑨ カロル・タロン=ユゴン『美学への手引き』上村博訳、白水社文庫クセジュ、2015年
古代における美学の前史から現代における最新動向まで、きわめて巧みに概観されています。実は入門書というよりも、ひととおり学び終えたあとに読むと頭の整理になる書物です。さらに深く学びたいときの二冊目に。 

 

⑩ ウンベルト・エーコ『美の歴史』東洋書林、2005年
西洋における「美」の理論の歴史について、古典からの引用と豊富なカラー図版で綴った、なんとも贅沢な美学入門書。頁を捲るだけでも愉しい書物(ただし残念ながら翻訳の間違いがちらほらあるので要注意)。姉妹篇に『醜の歴史』(東洋書林、2009年)もあり。

  

⑪ 当津武彦編『美の変貌——西洋美学史への展望』世界思想社、1988年
もっとも基本を押さえた美学史の定番。バランスよくしっかりと美学史を学ぶにはいちばんの書物。必読。

 

 ⑫ 小田部胤久『西洋美学史』東京大学出版会、2009年
一人の著者が書き下ろした美学史のため、内容に一貫性があります。トピック・ベースで、自分でも考えながら美学史をたどりたいひとのために。

 

⑬ 酒井紀幸ほか編『美/学』(新版)、大学教育出版、2009年
美学史を一トピックごとに見開き一頁でまとめていて簡便。さっと調べものをしたいときの参考書として使えます。

 

⑭ 谷川渥『芸術をめぐる言葉』(新編)、美術出版社、2012年
芸術をめぐる古今東西の名句箴言を縦横無尽に論じた、玉手箱のような書物。美学研究のアイディアの宝庫にして、ちょっとした人名辞典にもなります。 

  

⑮ 『美学の事典』美学会編、丸善、2020年
  佐々木健一『美学辞典』東京大学出版会、1995年
  『美学事典』(増補版)竹内敏雄編、弘文堂、1974年
美学の辞書・事典としてはこの三冊。知らないことがあればまず引いてみましょう。コラム集のつもりで読んでみても面白いでしょう。