堀池信夫
- 堀池信夫『中国哲学とヨーロッパの哲学者』(1996-2000)
ロジャー・ベーコンからモーリス・メルロ=ポンティまで、ヨーロッパの哲学者たちによる中国哲学受容を跡づけた労作。一挙に通読するには浩瀚すぎるため、まずはなじみのある16世紀あたりを読み散らかしていると、中国哲学がキリスト教と融和しうるものか否かをめぐるイエズス会士たちの逡巡が、古代ギリシア・ローマ哲学がキリスト教と融和しうるか否かをめぐる人文主義者たちの逡巡と同じロジックをなぞっていて、強烈な既視感に襲われる。ルネサンスのヨーロッパにとって古代ギリシア・ローマ哲学は中国哲学と同じほどに異物だったと言うべきか、あるいは中国哲学は古代ギリシア・ローマ哲学と同様に咀嚼しうるものだったと言うべきか。