鈴木雅雄
- 鈴木雅雄『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(2007)
シュルレアリスムの理論と実践(とりわけ実践)をさながら新たな共同体論として読み解いていく趣の書物。いっさいの超越的な審級を廃したうえでいかにして共同する(ともにある)ことができるか、という問いをシュルレアリストたちの実際の実践にまで深く踏み込んであとづけていてとても面白く読めるが、そのとき軸になっている「真実(真理)」と「現実(実在)」のあいだで生じる「痙攣」という話が、どうしてもロラン・バルトの『明るい部屋』の問題機制に重なって見えてしまう。そういえばバルトのコレージュ・ド・フランス講義も『いかにしてともに生きるか』というものだった。