The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ラトゥール

  • ブルーノ・ラトゥール「〈社会的なもの〉の終焉」(原著2002)

昨年『VOL』のエピステモロジー特集号(05)に翻訳されたブリュノ・ラトゥールのガブリエル・タルド論、ようやく眼を通してみると、先日読んだトマス・サラセーノ論よりも格段に理論的に突っ込んだ議論をしていて面白い。タルドの「転倒した」還元主義は、全体を細部へ、大を小へと還元するものの、それはより単純なものへの還元どころか、より複雑なものへの還元なのだという。まさに「神は細部に宿る」といった趣。「物理→生物→心理→社会」というような階層構造の上昇に沿って複雑度も上昇する、みたいな話に対してなぜ違和感があったのか、腑に落ちるとともに、この階層的発想に代えてどう考えるべきか、一つの示唆を得る。