The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

ダグロン

  • Tristan Dagron, Toland et Leibniz. (2009)

思弁的実在論の「ブルーノ問題」でいちばん問題になっていたブルーノの「実体」概念についてもういちど取り組んでみようとなると、まずはやはりトリスタン・ダグロンによる研究を咀嚼する必要あり。論文「『原因、原理、一者について』における本質の教説」(2003)が最重要文献ではあるものの、最新著『トーランドとライプニッツ――新スピノザ主義の創出』でも、ブルーノをめぐってジョン・トーランドとライプニッツが交わした往復書簡を出発点にブルーノ(=トーランド)とライプニッツの実体論の比較検討をしていて、これがめっぽう面白い。が、はてしなく難しい。
トーランドもどうやら最初の主著『秘儀なきキリスト教』の邦訳がもうじき出版されるようだし、このパラドクシカルな実体の形而上学の内実をしっかりと押さえておきたいところなのだけれども。