ハーマン、グラント
- Graham Harman, "On the Undermining of Objects: Grant, Bruno, and the Radical Philosophy" (2011)
- Iain Hamilton Grant, "Mining Conditions: A Response to Harman" (2011)
なおも思弁的実在論における「ブルーノ問題」。論文集『思弁的転回――大陸哲学の唯物論と実在論』でのやりとりをゆっくりと繰り返し読んだので、争点がいくぶん入り組んでいるとはいえ、だいぶ咀嚼できてきたように思う。まだグレアム・ハーマンとイエイン・ハミルトン・グラントのそれぞれの著作にあたって争点の理論的背景を確認する必要があるものの、二人がそれぞれの仕方で描き出そうとする〈命なき世界〉は、その字面とは裏腹に、ジョルダーノ・ブルーノの〈生ける自然〉の残存と見なして良さそう。
となると問題は「個体」と「生成」であり、ハーマンとグラントの双方が看過しているブルーノ版モナド論と名高い「ラテン語詩篇フランクフルト三部作」を思弁的実在論と突き合わせてみるべきかもしれない。
ともあれいまさらながらハーマンがアルフォンソ・リンギスの弟子だと知る。