The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

清水純一、エスポジト

ブルーノの生涯をざっとおさらいということで、久々に読み直した清水純一の新書。最終章でブルーノの哲学を、言ってみれば「形而上学的一元論」と「自然学的多元論」と「人間学的二元論」から成る「ボロメオの環」的なものとして素描しているあたり、明解なまとめだとあらためて思う。とともに、そのなかでも「人間学的二元論」あたりの解釈がやはりどうにもしっくりこないのは、「矛盾対立」や「無知的自覚」といったおそらくドイツ観念論研究の名残と思えるものがそこにちらついているからかもしれない。