The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

李沢厚、河野道房、アヤダ

  • 李沢厚『中国の伝統美学』(原著1989)
  • 河野道房「前近代中国絵画関係文献の形式と内容」(上+中+下)(1999-2001)
  • Souâd Ayada, L'islam des théophanies. Structure métaphysique et formes esthétiques. (2009)

中国の芸術論は早くから「表象」ではなく「表現」を基軸にして展開してきた、というのは一般常識だとして、李沢厚はこれを「美と真」ではなく「美と善」が問題になっているのだと解釈する。「認識論」でなくて「政治学」だと言い換えてもいいかもしれない。芸術を認識論問題に還元してしまう(パノフスキーイデア』のごとく)のを避けるには有益な視点にも思えるものの、けれどもこのとき、「認識」自体にも政治的な意味がありうるし、「政治」もまた認識なしにはありえないという含みをもたせるよう、注意すべきようにも思う。