2010-09-02 李沢厚、杉田英明 美学 芸術 読書 李沢厚『中国の伝統美学』(原著1989) 杉田英明『事物の声、絵画の詩』(1993) 李沢厚の書物によれば、「公では儒家、私では道家」というのが大ざっぱな中国の思想の棲み分けだと良く言われるにしても、それは「倫理では儒家、美学では道家」というわけではないとのこと。なにかしら芸術の両義的な位置が見え隠れする気もするが、それを古代の巫術儀礼にまでさかのぼって論じているあたり、「人類学的」な視点と言うべきか。基底としての儒家美学に道家、屈原、禅仏教が随時ニュアンスを付け加えていった、という視座は、やや図式化しすぎのようにも思えるものの。