The Passing

岡本源太(美学)。書物を通過する軌跡。http://passing.nobody.jp/

芸術

ヴィント、サラ=モランス、ダミッシュ

Edgar Wind, Pagan Mysteries in the Renaissance. (2nd ed. 1968) ルイ・サラ=モランス『ソドム』(原著1991) Hubert Damisch, Le Jugement de Pâris. (1992) 短いながらも、ユベール・ダミッシュ『パリスの審判』に「アナクロニズム」を論じた箇所がある…

ジョイス、今福龍太、ジョイス(宮田恭子)

ジェイムズ・ジョイス『若い芸術家の肖像』(原著1916) 今福龍太『荒野のロマネスク』(初版1989) 宮田恭子『ジョイスと中世文化』(2009) 『荒野のロマネスク』所収のメキシコのコーラ族の音楽論「音と身体のエスノセオリー」、人間の領域と動物の領域の…

 ブリュノ・ラトゥールによる

Iconoclash. Beyond the Image Wars in Science, Religion and Art, edited by Bruno Latour and Peter Weibel, Cambridge, Mass., MIT Press, 2002. Making Things Public. Atmospheres of Democracy, edited by Bruno Latour and Peter Weibel, Cambridge,…

アガンベン、門林岳史

ジョルジョ・アガンベン『言葉と死』(原著1982) 門林岳史『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?』(2009) 20世紀最大の「ブルーノ主義者」と言うべきジェイムズ・ジョイスのこともそろそろちゃんと考えはじめてみるべきかと思い立ち、マー…

レヴィ=ストロース

クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』(原著1975) 図像の類似という反復関係に(基本的には)着目するイコノグラフィーに、もし対立や反転というさらなる変換関係を導入できたなら、豊饒な知見を獲得できそうにも思う……ので読みはじめてみる。

今福龍太

今福龍太『野性のテクノロジー』(1995) 異文化の接触の問題(といっても、そもそも文化は接触以外のなにものでもないが)は、ミルチア・エリアーデの宗教史を貫くモチーフでもあったが、近代以降の芸術(シュルレアリスムだけでなく)にとっても想像以上に…

オッソーラ、マスポリ・ジェネテッリ

Carlo Ossola, Autunno del Rinascimento. (1971) Silvia Maspoli Genetelli, Il filosofo e le grottesche. (2006) 久々に『ルネサンスの秋』をひっぱりだして、著者がコレージュ・ド・フランス教授のカルロ・オッソーラだったということに、いまさら気づく…

アラス

ダニエル・アラス「肉体、優美、崇高」(原著2005) 先頃翻訳された『身体の歴史』第一巻。そこに所収のダニエル・アラスの論考の凄いこと。アルベルティからフロイトまで、絵画から蝋人形まで、解剖学から社交術まで、この第一巻全体の内容を美術史として包…

パノフスキー、モンザン

エルヴィン・パノフスキー『イデア』(原著初版1924/二版1960) 『サイト・ゼロ/ゼロ・サイト』第3号(特集:ヴァナキュラー・イメージの人類学) そのむかし読んだマリ=ジョゼ・モンザン『ホモ・スペクタトル』の翻訳(第一章「われわれ人間を誕生させる…

クライン、アラス

Robert Klein, La forme et l'intelligible. (1970) Daniel Arasse, Le détail. (1992) アラスはあいかわらず示唆に富む。「細部」を全体のエコノミーにしたがわせる古典主義芸術理論の「模倣」は、神の似像としての人間という発想に根ざしている、とのこと。

宮崎広和、荒川修作(塚原史)

宮崎広和『希望という方法』(2009) 塚原史『荒川修作の軌跡と奇跡』(2009) 社会科学における「希望」という視点は、情念論の現代的な一変形のような気もして、なんとなく気になるところ。とはいえそれ以上に、方法として見られた「希望」は、その時間構造か…

 クロード・レヴィ=ストロース『はるかなる視線』(全2冊、三保元訳、みすず書房、1986年)

クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908-2009)の三つめの論文集(原著1983年)。『野生の思考』をはじめて手に取ったのがいつだったのかを思い起こすなら、レヴィ=ストロースの書物をそれなりに「読める」ようになるまで、かなりの長い…

 エドガー・ヴィント『芸術と狂気』(高階秀爾訳、岩波書店、1965年)

エドガー・ヴィント(Edgar Wind, 1900-1971)の美学(ひいては哲学)がもっとも明快に展開されている瀟洒な書物(原著1963年)。『残存するイメージ』のなか、あれほどエルヴィン・パノフスキーとエルンスト・ゴンブリッチに対して舌鋒鋭いジョルジュ・ディ…

 エドガー・ヴィント『ルネサンスの異教秘儀』(田中英道、藤田博、加藤雅之訳、晶文社、1986年)

エドガー・ヴィント(Edgar Wind, 1900-1971)が、ルネサンスのヨーロッパに再来した古代のギリシアやエジプトの宗教文化について、その哲学的な争点を考察した古典的な書物。ある意味で、かつて新プラトン主義者たちによって模索された「プラトンとアリスト…

ダニエル・アラスによって

Symbolisme de la Renaissance. sous la direction de Daniel Arasse et al. Paris : Presses de l'École normale supérieure 1976-1990 (vol.1, 1976; vol.2, 1982; vol.3, 1990). ダニエル・アラスが中心となったルネサンス美術についての論文集(全三巻)…

ユベール・ダミッシュとルイ・マランをめぐって

Y voir mieux, y regarder de plus près. Autour d'Hubert Damisch, sous la direction de Danièle Cohn, Paris : Presse de l'École normale supérieure, 2003.Signes, histoires, fictions. Autour de Louis Marin, textes réunis par Frédéric Pousin et …

顔について

Du visage, sous la direction de Marie-José Baudinet et Christian Schlatter, Lille : Presses Universitaires de Lille, 1982.À visage découvert, sous la direction de Georges Didi-Huberman, Paris : Flammarion, 1992. 顔をめぐるふたつの論文集。…

 池上俊一『イタリア・ルネサンス再考 花の都とアルベルティ (講談社学術文庫)』(講談社学術文庫、2007年)

レオン・バッティスタ・アルベルティと15世紀フィレンツェの文化・社会とを互いに照応させながら論じた書物。「万能の天才」アルベルティについては、いつか自分なりに取り組んでみたいとかねてより思っているが、なかなか手を出せないでいる。この書物では…

 エルヴィン・パノフスキー『イデア―美と芸術の理論のために (平凡社ライブラリー)』(伊藤博明、富松保文訳、平凡社ライブラリー、2004年)

エルヴィン・パノフスキー(Erwin Panofsky, 1892-1968)が、ヨーロッパにおける美や芸術についての議論のなかに「イデア」概念の変遷を辿った書物。芸術理論のなかで、〈模倣/表現〉、〈外界/内面〉、〈感覚的なもの/知性的なもの〉、〈客観/主観〉とい…

 ピエール・フランカステル『形象の解読〈1〉芸術の社会学的構造 (1981年)』(西野嘉章訳、新泉社、1981年)

ピエール・フランカステル(Pierre Francastel, 1900-1970)による、美術史の方法論や芸術作品の在り方についての諸論考(原著は1965年)。フランカステルは、言うまでもなく「芸術の社会学」の先駆のひとりだが、今日「芸術の社会学」と聞いて思い起こされ…

 ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』(橋本一径訳、平凡社、2006年)

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(Georges Didi-Huberman, 1953- )が、アウシュヴィッツの四枚の写真を分析しつつ、表象不可能性に対してイメージや想像の重要性を論じた書物。翻訳されたのであらためて読み返したが、イメージについての思想の射程の広が…

 ヴィクトル・ストイキツァ『ピュグマリオン効果―シミュラークルの歴史人類学』(松原知生訳、ありな書房、2006年)

ヴィクトル・ストイキツァ(Victor I. Stoichita, 1949- )が、ピュグマリオンの神話の諸変奏をたどりつつ、現実に取って代わるシミュラークルとしてのイメージについて考察した書物。 プラトンによる〈エイコーン/ファンタスマ〉の区別から筆を起こし、「…

 ホルスト・ブレーデカンプ『古代憧憬と機械信仰―コレクションの宇宙 (叢書・ウニベルシタス)』(藤代幸一、津山拓也訳、法政大学出版局、1996年)

ホルスト・ブレーデカンプ(Horst Bredekamp, 1947- )による、「クンストカンマー」の歴史をたどった書物。ブレーデカンプによれば、クンストカンマー、ストゥディオーロ、キャビネなどに蒐集された品々は、「自然物−古代彫刻−人工物−機械」という系列のも…

 神崎繁『プラトンと反遠近法』(新書館、1999年)

〈本体/あらわれ〉の分割およびそのうちの「あらわれ」の形成と密接に関わる「遠近法」を、その前史たる「背景画(skenographia)」や「光学(optika, perspectiva)」の変遷を辿りながら考察した書物。おもにギリシアからヘレニズムに重点が置かれつつ、興…

 ジョナサン・クレーリー『観察者の系譜―視覚空間の変容とモダニティ (以文叢書)』(遠藤知巳訳、十月社、1997年/以文社、2005年)

ジョナサン・クレーリーが、近代の視覚/観察者における17〜18世紀と19世紀との切断面について、科学史と美術史と哲学史を統合的に扱いながら論じた書物。個人的には、フーコー的な「切断」によって歴史を捉えようとは思わないし、まして歴史を「構築」と見…

 ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『残存するイメージ―アビ・ヴァールブルクによる美術史と幽霊たちの時間』(竹内孝宏、水野千依訳、人文書院、2005年)

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(1953- )が、アビ・ヴァールブルクの美術史の方法論を、「残存」に集約される特異な時間性の観点から、同時代や先行/後続の美術史、哲学、人類学、精神分析学と照応/対比しつつ論じた書物。ディディ=ユベルマン自身の…

 ジャン・スタロバンスキー『自由の創出―十八世紀の芸術と思想』(小西嘉幸訳、白水社、1982年/新装版1999年)

ジャン・スタロバンスキー(1920- )*1が、18世紀フランスの芸術と思想を「自由」をめぐる問題系として読み解いた書物。啓蒙主義とロココ趣味、崇高と優雅が同居する18世紀フランスは、なによりも感情と運動を重視し、そこから互いに相容れないようなさまざ…

 Georges Didi-Huberman, Être crâne. Lieu, contact, pensée, sclupture, Minuit, Paris, 2000.

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(1953- )によるジュゼッペ・ペノーネ論『頭蓋になること』。ディディ=ユベルマンはペノーネの作品の根幹にdéveloppementを見いだす。このdéveloppementは視覚的には「現像」(写真などの)という意味であり、時間的には…

 港千尋『影絵の戦い―9・11以降のイメージ空間』(岩波書店、2005年)

現代社会におけるイメージの問題を、実体とその影というメタファーから出発して考察した書物。過去の痕跡を読み、そのデータを蓄積するという行為が、未来を予測するという行為と不可分であることを論じている箇所があるが、そこで面白いのは、かつてはこれ…

 鈴木雅雄編『シュルレアリスムの射程―言語・無意識・複数性 (serica archives)』(せりか書房、1998年)

「日常において抑圧されている無意識の欲望を解放する試み」という通俗的なシュルレアリスム理解を一新する論文集。「オートマティスム」や「客観的偶然」といった概念によって、シュルレアリスム(というかアンドレ・ブルトン?)が提起した問題は、とりわ…